軽貨物ドライバーの手取りは、雇用で働くか、業務委託(雇われずに、事業者として仕事を請ける形)で請けるかで計算の仕方が違います。
雇用で働く場合は、額面の給与から社会保険料と税が差し引かれた額が支払われます。
業務委託で請ける場合は、報酬から経費を引いた所得にかかる税と、国民健康保険料・国民年金保険料を自分で納め、その残りが手元に残ります。
ここでは金額の例は示さず、計算式と引かれる項目、手取りが変わる要因を説明します。給与と報酬の形は軽貨物ドライバーの給料・報酬の仕組みで説明しています。
手取りは何から何を引いた額?
雇用と業務委託では、保険料を会社が一部負担するかどうかと、税を誰が計算して納めるかが違います。
| 雇用で働く場合 | 業務委託で請ける場合 | |
|---|---|---|
| 出発点 | 額面の給与(総支給額) | 報酬(売上) |
| 先に引くもの | なし | 経費と、報酬から差し引かれる手数料など |
| 保険料 | 健康保険・厚生年金・雇用保険(会社も負担) | 国民健康保険・国民年金(会社の負担なし) |
| 税 | 所得税・住民税(会社が給与から差し引く) | 所得税・住民税・個人事業税(自分で申告して納める) |
雇用で働く場合の手取りの計算
雇用で働く場合は、「手取り=額面の給与−社会保険料−所得税−住民税−そのほかの控除」で考えます。
社会保険料
日本年金機構(公式サイト)の保険料の計算方法によると、会社は給与から健康保険料と厚生年金保険料を差し引き、その額は標準報酬月額(給与を一定の幅で区切って当てはめた額)に保険料率を掛けた額の半分です。日本年金機構(公式サイト)の厚生年金保険の保険料では、厚生年金保険料率は18.3%で固定され、標準報酬月額は残業代や通勤手当も含めた4月から6月の給与をもとに、毎年9月に見直されます。
健康保険料率は加入する健康保険で違い、協会けんぽ(公式サイト)の2026年度の保険料率では都道府県ごとに決まっています。同じ案内では、40歳から64歳の人は介護保険料が加わり、2026年4月分からは子ども・子育て支援金も加わります。厚生労働省(公式サイト)の2026年度の雇用保険料率によると、一般の事業で労働者が負担する雇用保険料は賃金の1,000分の5です(2026年4月から2027年3月まで)。
所得税と住民税
国税庁(公式サイト)の給与所得者と税の案内によると、所得税は勤務先が毎月の給与から源泉徴収(会社が所得税を差し引いて納めること)し、その年の最後の給与で年末調整をして精算します。総務省(公式サイト)の個人住民税の案内によると、住民税は前年の1月から12月の所得で計算され、会社員は原則として会社が給与から差し引いて納めます(特別徴収)。前の年と収入が変わった年は、引かれる住民税が今の給与と釣り合わないことがあります。
そのほかに引かれるもの
厚生労働省(公式サイト)の賃金の支払いの案内によると、賃金は全額を払うのが原則で、差し引けるのは所得税の源泉徴収のように法令で決まったものと、労使の協定で決めたもの(物品の購入代金など)です。給与明細に見慣れない控除があれば、労働条件通知書などで中身を確かめます。
当サイトの軽貨物ドライバーの求人一覧には、雇用(正社員・アルバイトなど)の求人だけを掲載しています。給与の形と額面は、募集内容の記載で確かめられます。
業務委託で請ける場合の手元に残る額の計算
業務委託で請ける場合は、「手元に残る額=報酬−経費−税(所得税・住民税・個人事業税)−保険料(国民健康保険・国民年金)」で考えます。所得税はその年の所得、住民税・個人事業税・国民健康保険料は前年の所得をもとに決まります。
経費と報酬から差し引かれるもの
契約によっては、手数料やロイヤリティ(仕組みや看板を使う対価)、車両のリース料が報酬から差し引かれて振り込まれます。燃料費・高速道路の利用料・任意保険料など自分が払う費用は、国税庁(公式サイト)のタックスアンサー No.2210のとおり、仕事のために使った分が経費です。経費の範囲と記帳は軽貨物ドライバーの確定申告と経費、差し引かれるものを契約書で見るところは業務委託契約で確認しておきたい項目にまとめています。
所得にかかる税
国税庁(公式サイト)のタックスアンサー No.2020によると、所得の合計が所得控除の合計を超えて税額が出る人は、翌年3月15日までに確定申告をして所得税を納めます。住民税は総務省の案内のとおり前年の所得で計算され、市区町村から届く納税通知書で納めます(普通徴収)。個人事業税は都道府県の税です。東京都主税局(公式サイト)の個人事業税の案内によると、東京都では運送業は対象の業種で、所得から年290万円の事業主控除などを差し引いた額に5%を掛け、青色申告特別控除は使えません(2026年10月時点)。
インボイスの登録などで消費税の課税事業者になった場合の負担は、軽貨物ドライバーのインボイス登録は必要かで説明しています。
国民健康保険料と国民年金保険料
大阪市(公式サイト)の国民健康保険料の決め方では、2026年度の保険料は医療分・後期高齢者支援金分・子ども・子育て支援金分(40歳から64歳の人は介護分も)を合わせたもので、世帯の加入者の人数や前年の所得などから世帯ごとに計算し、世帯主が払います。計算の仕方と料率は、住んでいる市区町村の案内で確かめます。日本年金機構(公式サイト)の国民年金保険料の案内によると、2026年度の国民年金保険料は1か月17,920円です。会社を辞めて始めるときの国民年金への切り替えは、軽貨物の開業届と開業後の手続きで説明しています。
手取りが変わる要因
同じ働き方でも、手取りは月ごと・年ごとに変わります。
雇用で働く場合
残業や深夜の時間、歩合給の額によって額面が変わり、所得税もそれに合わせて変わります。4月から6月の残業代も標準報酬月額に入るので、この時期の働き方が9月からの健康保険料と厚生年金保険料に響きます。
業務委託で請ける場合
働いた日数、仕事の種類(配った個数・1日単位・距離や時間で報酬が決まる形)、走った距離に応じて増える燃料費、ロイヤリティや手数料が報酬に対する割合か定額かで、手元に残る額が変わります。報酬は契約の支払期日に入るので、その月に払う経費と入金の時期がずれることもあります。所得税は翌年に、住民税・個人事業税・国民健康保険料は前年の所得をもとに納めるので、納める時期の分を取り分けておきます。
よくある質問
手取りの考え方について、気になりやすい点に答えます。
業務委託の報酬と雇用の給与は、額面で比べられますか?
そのままでは比べられません。比べるときは、どちらも手元に残る額まで計算をそろえます。
業務委託では、報酬から経費を払い、国民健康保険料と国民年金保険料を自分で納めます。
雇用では、健康保険料と厚生年金保険料の半分を会社が負担し、税も会社が給与から差し引いて納めます。
雇用の給与から引かれる額は、毎月同じですか?
健康保険料と厚生年金保険料は、9月に標準報酬月額が見直されるまで原則として同じ額ですが、昇給などで給与が大きく変わったとき、保険料率が変わったとき(協会けんぽの2026年度の料率は3月分から)、40歳になって介護保険料が加わるときは変わります。雇用保険料は賃金に率を掛けるので、賃金が変われば変わります。所得税も毎月の給与の額から国税庁の税額表で計算するので、残業などで給与が変わると変わります。
開業1年目の住民税や国民健康保険料は、どう決まりますか?
どちらも前年の所得をもとに計算されるので、会社員から開業した年は、会社員だった前年の給与をもとにした額になります。開業した年の事業の所得は、翌年度の住民税と国民健康保険料に反映されます。開業の前に見込んでおく費用は軽貨物の開業にかかる初期費用の内訳にまとめています。
この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。制度・手続きの内容は変更されることがあります。実際の手続きの前に、必ず所管の官公庁など公式の案内で最新の情報を確認してください。