軽貨物ドライバーの仕事を副業でできるかは、まず本業の会社の就業規則で、副業が認められているか、届出が要るかを確かめるところから始まります。副業の形には、ほかの会社にアルバイトなどで雇われる雇用と、業務委託(個人事業主として運送の仕事を請ける形)の2つがあり、労働時間の扱いと必要な手続きが違います。
雇用で働く場合は、本業と副業の労働時間が合わせて数えられ、それぞれの会社が把握することになります。
業務委託で請ける場合は、副業であっても、専業の人と同じように運輸支局への届出と黒ナンバー(事業用の黒地に黄色の文字のナンバー)への変更が必要です。
本業の会社で副業は認められている?
厚生労働省(公式サイト)の副業・兼業のページにある「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2022年7月改定)では、会社は原則として副業・兼業を認める方向で考えることが適当とされています。裁判例をもとに、会社が副業を制限できるのは、例えば本業の仕事に支障がある、業務上の秘密が漏れる、競業(本業の会社と競い合う仕事)で会社の利益が害される、会社の名誉や信用を損なう・信頼関係を壊すといった場合だとしています。
同じガイドラインでは、会社は労働者からの申告などで副業の有無や内容を確かめるものとされ、その方法として、就業規則や労働契約に届出の決まりを設けることが挙げられています。副業を始める前に、本業の就業規則で、届出や許可が必要かどうかを確かめます。
雇用で働く場合と業務委託で請ける場合の違い
同じ軽貨物の仕事でも、副業先に雇われるか、仕事を請けるかで、労働時間の扱いが変わります。
雇用で働く場合
ガイドラインによると、労働基準法第38条では、事業場(会社)が違っても労働時間は通算するとされていて、本業の会社と副業先の会社は、本人からの申告などで把握した互いの労働時間を合わせて管理します。副業先の会社に運転者として雇われる場合、その会社は改善基準告示(厚生労働大臣が定めた、トラックなどの運転者の労働時間の基準)を守ることになっています。厚生労働省(公式サイト)の改善基準告示の解説では、1日の拘束時間(労働時間と休憩時間を合わせた、会社に拘束されている時間)は原則13時間以内などとされています(2026年10月時点)。
当サイトの軽貨物ドライバーの求人一覧には、雇用(正社員・アルバイトなど)の求人だけを掲載しています。勤務する曜日や時間帯は、募集内容の記載で確かめられます。
業務委託で請ける場合
ガイドラインでは、フリーランスや起業など労働基準法が適用されない働き方の時間は、本業の労働時間と通算されないとされています。ただし、その場合も会社は、過労で仕事に支障が出ないよう、本人からの申告などで就業時間を把握し、長くならないよう配慮することが望ましいとされています。
運送の仕事を請けて運賃を受け取るなら、副業でも専業と同じ届出が必要です。始めるまでの流れは雇用と個人開業の違いと始めるまでの手順、届出の書類は黒ナンバーの取り方と届出の手順で説明しています。
国土交通省(公式サイト)の軽貨物の安全対策のリーフレットによると、一人で事業を行う場合も、点呼(乗務の前後に体調や酒気帯びを確かめる手続き)などの安全対策を自分で行います。同じリーフレットでは、一人で事業を行う人は、1日の拘束時間を原則13時間以内とするなどの範囲で、自分の勤務時間を決めて守る必要があるとされています。国土交通省(公式サイト)の軽貨物の安全対策のページにあるFAQでは、2025年4月以降に届出をした事業者の場合、初めて事業用の車に乗務する前に、適性診断(運転のクセを確かめる診断)の一つの初任診断を受けるとされています。
自分の車で副業の配送をしてもいい?
近畿運輸局(公式サイト)の軽貨物運送業の手続きの案内では、荷主から荷物の運送を頼まれて運賃を受け取る場合は、すべて貨物軽自動車運送事業にあたり、始めるには運輸支局への届出が必要とされています。このため、業務委託で請ける副業で少しだけ運ぶ場合でも、届出をせず自家用のナンバーのまま運賃を受け取って運ぶことはできません。
業務委託で請けて自分の車を使うなら、その車を事業に使える車両の条件と、黒ナンバーへの変更を確かめます。車両の条件は軽貨物ドライバーに必要な車両と装備、事業に使うときの任意保険の扱いは軽貨物の事業用の自動車保険と貨物保険にまとめています。
副業の確定申告と住民税の申告
国税庁(公式サイト)の給与所得者で確定申告が必要な人の案内によると、本業の給与のほかに、業務委託で請けた副業の所得(給与所得以外の所得)がある場合、給与を1か所から受けていて全部が源泉徴収(会社が給与から所得税を差し引いて納めること)の対象になる人は、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると、確定申告が必要です(2026年4月1日現在の法令)。
アルバイトなど雇用で副業をして給与を2か所以上から受け、給与の全部が源泉徴収の対象になる人は、年末調整(会社が年末に1年分の所得税を精算すること)がされなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得以外の所得との合計額が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。給与の額などによって申告が要らない場合もあるので、国税庁の案内で確かめます。
業務委託の報酬は、売上から経費を引いた所得で考えます。所得の出し方と経費になるものは、軽貨物ドライバーの確定申告と経費で説明しています。
所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告は別です。例えば神戸市(公式サイト)の住民税の申告の案内では、給与所得以外の所得が20万円以下で確定申告の必要がない人も、住民税の申告が必要とされています(2026年10月時点)。業務委託の副業の所得が20万円以下の場合は、お住まいの市区町村の案内で確かめます。
本業に響かないための体調の管理
厚生労働省(公式サイト)の労働者向けリーフレットでは、本業と副業のどちらも雇われて働く場合について、長時間労働で健康を害したり、仕事に支障が出たりしないよう、それぞれの職場での業務量と自分の健康状態を自分でも管理し、それぞれの会社に報告するよう呼びかけています。
国土交通省のリーフレットでは、病気や疲労、睡眠不足で安全に運転できないおそれがあるときは、運行しないことになっています。本業のあとに運転する日は、休息を取れる時間が残っているかを先に考えておきます。
よくある質問
副業で軽貨物の仕事をするときに、気になりやすい点に答えます。
会社に届け出ずに、副業で軽貨物の仕事をしてもいいですか?
就業規則で届出や許可が決められていれば、それに従います。厚生労働省のガイドラインでは、会社は労働者からの申告などで副業の有無や内容を確かめ、雇用の副業なら労働時間を通算して管理するとされています。
副業の所得が20万円以下なら、何も手続きしなくていいですか?
給与を1か所から受けていて、業務委託の副業の所得(売上から経費を引いた額)が20万円以下なら、国税庁の案内では所得税の確定申告は原則不要です。ただし、神戸市の案内のように住民税の申告を求める市区町村があるので、お住まいの市区町村で確かめます。
アルバイトなど雇用の副業で給与を2か所以上から受ける場合は、条件が違うので国税庁の案内で確かめます。
副業で業務委託を請けるときも、黒ナンバーは必要ですか?
必要です。運賃を受け取って荷物を運ぶなら、副業かどうかにかかわらず貨物軽自動車運送事業として運輸支局への届出が要り、事業に使う車は黒ナンバーにします。
この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。制度・手続きの内容は変更されることがあります。実際の手続きの前に、必ず所管の官公庁など公式の案内で最新の情報を確認してください。