乗車定員3名以上の軽乗用車(いわゆる5ナンバーの軽自動車)なら、2022年10月27日から、構造を変えずに黒ナンバー(事業用のナンバー)を付けて軽貨物の仕事に使えます。ただし、積める荷物の重さは「(乗車定員−乗っている人数)×55kg」までで、運賃を受け取って人を運ぶことはできません。
黒ナンバーの届出をするのは、軽貨物の事業を自分で営む個人事業主や会社です。手続きの流れは荷台のある貨物用の軽自動車と同じで、違いは書類の一部と、車検・税金の区分にあります。
2022年の改正で何が変わった?
国土交通省(公式サイト)の報道発表によると、軽貨物の事業(貨物軽自動車運送事業)の届出は、それまで最大積載量の記載のある車両に限って受け付けられていました。2022年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」を踏まえ、軽乗用車も使えるようにする通達(国から地方運輸局などへの指示の文書)が10月24日に出され、10月27日から適用されています。
関東運輸局 東京運輸支局(公式サイト)のハンドブックでは、対象は乗車定員3名以上の軽乗用車に限られています。以前は構造を変えて貨物用の軽自動車にしてから使う必要がありましたが、今は構造を変えずに使えます。
報道発表に添えられた通達では、黒ナンバーにした軽乗用車の車検証は、自家用・事業用の別が「事業用」、用途が「乗用」になるとされています。事業用になっても、車の用途は乗用のままです。
積める荷物の重さはどう決まる?
通達では、積める荷物の重さは、乗車定員から乗っている人数を引いた数に55を掛けたキログラム以内とされています。東京運輸支局のハンドブックにある4人乗りの例は次のとおりです。
| 乗っている人数 | 積める重さ |
|---|---|
| 運転者だけ | 165kg |
| 運転者と1人 | 110kg |
| 運転者と2人 | 55kg |
| 4人 | 事業に使えない |
同じ通達では、荷物の位置が運転席や客室の前・後ろ・片側に極端に偏る積み方もしないこととされています。運輸支局は届出を受けるときに、この重さを超える荷物の運送と、運賃を受け取って人を運ぶこと(旅客の運送)をしないよう指導します。
北信越運輸局 長野運輸支局(公式サイト)のよくあるご質問によると、この上限より重い荷物を積みたい場合は、乗用のままでは運べず、貨物の用途に構造を変える手続きが要ります。扱う荷物の重さは、仕事を始める前に確かめておきます。
手続きは貨物用の軽自動車と同じ?
流れは同じです。営業所を管轄する運輸支局に経営届出(事業を始めるときに出す届出)を出し、発行された事業用自動車等連絡書(ナンバーの変更に使う書類)を持って軽自動車検査協会でナンバーを変えます。手順と必要書類は黒ナンバーの取り方と必要書類で説明しています。
軽乗用車ならではの違いは2つです。東京運輸支局のハンドブックでは、軽乗用車の連絡書の備考欄に「軽貨物・乗用」と朱書きされます。軽自動車検査協会(公式サイト)の番号変更の案内では、軽乗用車を自家用から事業用に変える申請書は軽第2号様式とされています。
2025年4月からの安全対策も、貨物用の軽自動車と同じく対象です。国土交通省の軽貨物の安全対策のリーフレットでは、一人で事業を行う場合も、貨物軽自動車安全管理者(事業の安全対策を担う人)の講習と選任、乗務の前後の点呼などを自分で行うこととされています。軽乗用車の通達でも、運輸支局は、過労運転の防止や酒気帯びの確認などを事業者自らが行うよう周知することとされています。初めて事業用の車に乗務する前に受ける適性診断は、軽貨物ドライバーの適性診断で整理しています。
車検・税金・保険はどう変わる?
国土交通省(公式サイト)の自動車検査証の有効期間の一覧では、軽乗用車は初回3年・2回目以降2年、貨物用の軽自動車は初回も2回目以降も2年です。ただし道路運送車両法では、初回を3年とするのは自家用の乗用車です。黒ナンバーにした場合の有効期間は、ナンバーを変えるときに軽自動車検査協会で確かめてください(2026年10月時点)。
軽自動車税は、地方税法(e-Gov法令検索)第448条の標準税率で、四輪の乗用・営業用(事業用)が年6,900円、乗用・自家用が年10,800円、貨物用・営業用が年3,800円です。黒ナンバーの軽乗用車は用途が乗用のままなので、乗用・営業用の区分になります。2015年4月以降に初めてナンバーの指定を受けた車の額で、環境性能のよい車の翌年度分だけの軽減などの特例は除きます。実際の税額は市区町村の条例で決まります(2026年10月時点)。
保険は、東京運輸支局のハンドブックで、運ぶ荷物の損害賠償に対応できる軽貨物事業用の任意保険への加入が案内されています。事業用の保険の考え方は軽貨物の事業用の自動車保険と貨物保険で整理しています。
雇用で働く場合と業務委託で請ける場合
雇用で働く場合、届出と黒ナンバーへの変更をするのは雇う側の会社で、軽貨物ドライバー本人の手続きは要りません。仕事に使う車が会社の車かどうかは、働き始める前に確かめます。当サイトの軽貨物ドライバーの求人一覧には、雇用(正社員・アルバイトなど)の求人だけを掲載しています。
業務委託(個人事業主として運送の仕事を請ける形)で自分の軽乗用車を使う場合は、届出からナンバーの変更までを自分で行います。契約先で扱う荷物の重さが、自分の車で積める重さに収まるかも、契約の前に確かめます。
よくある質問
2人乗りの軽乗用車でも黒ナンバーにできますか?
東京運輸支局のハンドブックでは、構造を変えずに使える軽乗用車は乗車定員3名以上に限られていて、2人乗りの車はこれに当たりません。2人乗りの車を使いたい場合の扱いは、管轄の運輸支局に確かめてください。
希望ナンバーや図柄入りナンバーのまま使えますか?
使えません。軽自動車検査協会(公式サイト)のお知らせでは、事業用のナンバーは希望番号・字光式(文字が光るナンバー)・図柄入りを選べないとされています。黒ナンバーへの変更では、今のナンバープレートを返して付け替えます。
黒ナンバーにした軽乗用車を自家用に戻せますか?
戻せます。軽自動車検査協会の番号変更の案内では、事業用から自家用への変更も軽第2号様式で申請し、事業用自動車等連絡書が必要とされています。事業をやめるときや車を減らすときは、先に運輸支局で届出をします。
この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。制度・手続きの内容は変更されることがあります。実際の手続きの前に、必ず所管の官公庁など公式の案内で最新の情報を確認してください。