雇用で働く軽貨物ドライバーの労働時間は、労働基準法と、運転者向けの国の基準である改善基準告示で決まります。2024年4月からは、1日の拘束時間(始業から終業までの、休憩を含む時間)は原則13時間以内、勤務と勤務の間の休息期間は継続11時間以上を基本に9時間が下限です。残業の上限は原則として年360時間で、臨時的な特別の事情があっても年960時間までです。
業務委託(個人事業主として運送の仕事を請ける形)で働く人には改善基準告示は適用されず、国土交通省の安全対策で、自分で守る勤務時間の範囲が決まっています。
改善基準告示とは?誰に適用される?
厚生労働省(公式サイト)の改善基準告示の解説によると、改善基準告示は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」という厚生労働大臣の告示で、拘束時間の上限や休息期間などを定めています。2022年12月に見直され、2024年4月1日から今の基準が適用されています。
厚生労働省(公式サイト)の告示の全文では、対象は労働基準法の労働者で、四輪以上の自動車の運転を主な仕事にする人です。荷物を運ぶ運転者には、トラック運転者の基準が当てはまります。改善基準告示の解説では、運送会社に限らず、製造業の配達部門など、運転を主な仕事にする人も含まれるとされています。
拘束時間には、運転や荷物の積み下ろしの時間だけでなく、休憩時間も含まれます。休息期間は、勤務を終えてから次の勤務を始めるまでの、会社の拘束を受けない時間です。
拘束時間・休息期間・運転時間の上限は?
改善基準告示の解説によると、トラック運転者の主な基準は次のとおりです(2026年10月時点)。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,300時間以内(労使協定で3,400時間まで) |
| 1か月の拘束時間 | 284時間以内(労使協定で年6か月まで310時間) |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内(延長しても15時間まで) |
| 休息期間 | 継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間、2週平均で1週44時間以内 |
| 連続運転時間 | 4時間以内 |
1日の拘束時間が14時間を超える回数は、週2回までが目安とされています。連続運転時間は、1回おおむね10分以上・合計30分以上の中断をはさまずに運転する時間で、中断には原則として休憩を与えます。告示の全文では、休日に働かせるのは2週間に1回までで、そのときも拘束時間の上限を超えないこととされています。表の労使協定は、会社と労働者の代表との取り決めです。
1週間の運行がすべて1回450キロ以上の長距離で、自宅以外で休息を取る場合などには特例があります。長い距離を走る仕事の時間の決まりは、軽貨物のチャーター便の仕事内容と長距離の注意点で触れています。
残業の上限は年960時間?
厚生労働省(公式サイト)の時間外労働の上限規制の案内によると、労働時間は原則1日8時間・週40時間までで、これを超える残業の上限は原則として月45時間・年360時間です。自動車運転の業務は適用が猶予されていましたが、2024年4月から上限規制が適用されています。
自動車運転の業務では、臨時的な特別の事情があるときの特別条項付きの36協定(残業や休日労働についての労使の協定)でも、年間の時間外労働は960時間が上限です。一般の業種にある月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内といった規制は適用されませんが、改善基準告示の拘束時間の上限は別にかかります。
残業代はどう計算される?
厚生労働省(公式サイト)の割増賃金率のリーフレットによると、法定労働時間を超える残業には25%以上、月60時間を超える部分には50%以上の割増賃金が必要で、2023年4月からは中小企業も50%以上です。法定休日の労働は35%以上、午後10時から午前5時までの深夜の労働は25%以上の割増で、月60時間を超える残業が深夜に及ぶと合わせて75%以上になります。
厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、歩合給(売上や件数に応じて決まる給料)でも、法定労働時間を超えて働いた部分には割増賃金が必要とされています。給料の仕組みは軽貨物ドライバーの給料・報酬の仕組みで整理しています。
業務委託で請ける場合は?
改善基準告示も残業の上限も、労働基準法の労働者に適用される決まりで、業務委託で請ける個人事業主には適用されません。代わりに国土交通省(公式サイト)の軽貨物の安全対策のリーフレットでは、一人で事業を行う場合も、1日の拘束時間13時間以内(上限15時間)、休息期間は9時間を下回らない、連続運転4時間以内といった範囲で、自ら勤務時間を決めて守ることとされています。厚生労働省(公式サイト)の労働者の判断の案内によると、契約の名前が業務委託でも、働き方の実態から労働者と判断されれば、労働時間や賃金のルールが適用されます。
違反かもしれないときの相談先は?
厚生労働省(公式サイト)の総合労働相談コーナーの案内によると、総合労働相談コーナーは都道府県労働局や全国の労働基準監督署の中などに置かれ、予約不要・無料で相談を受けています。労働基準法などに違反する疑いがあるときは、行政指導の権限を持つ労働基準監督署などに取り次ぐとされています。改善基準告示の解説でも、問い合わせ先に最寄りの労働局・労働基準監督署が挙げられています。
相談の前に、始業と終業の時刻、休憩、運転した時間の記録を手元にそろえておくと、状況を伝えやすくなります。勤務時間・休日・残業の有無は求人の段階でも確かめられ、見方は軽貨物ドライバーの求人の見方にまとめています。当サイトの軽貨物ドライバーの求人一覧には、雇用(正社員・アルバイトなど)の求人だけを掲載しています。
よくある質問
軽自動車の運転でも改善基準告示は適用されますか?
適用されます。告示の対象は、労働基準法の労働者で四輪以上の自動車の運転を主な仕事にする人で、軽自動車も四輪の自動車です。貨物自動車運送事業法でも、軽自動車で荷物を運ぶ事業は貨物自動車運送事業に含まれるので、雇用で軽貨物ドライバーとして働く場合は、トラック運転者の基準が当てはまります。
荷物を待っている時間は労働時間に入りますか?
厚生労働省(公式サイト)の労働時間の把握のガイドラインでは、会社の指示があればすぐに仕事に就くことを求められ、仕事から離れることが保障されていない状態で待っている時間(手待時間)は、労働時間にあたるとされています。会社は、働いた日ごとに始業と終業の時刻を確かめて記録することとされています。
休憩は何分取れますか?
厚生労働省(公式サイト)の労働時間・休日の案内によると、会社は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。運転の途中の中断も、原則として休憩として与えます。1日の中での休憩の取り方は軽貨物ドライバーの1日の流れで紹介しています。
この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。制度・手続きの内容は変更されることがあります。実際の手続きの前に、必ず所管の官公庁など公式の案内で最新の情報を確認してください。